おそらくほとんどのオーナーさんが、フィラリアの予防はしっかりされていることでしょう。
しかし、なかにはマンションの高層階だから蚊にさされる心配はないし、大丈夫。と考えている方もいらっしゃるかも知れません。
今回は、愛犬と暮らしているオーナーさんなら一度は聞いたことがあるフィラリアについて解説しますので、是非参考にしてくださいね。
フィラリアとは
フィラリアは犬糸状虫とも呼ばれる、蚊により媒介される白い糸のような細長い寄生虫です。
フィラリアにはオスとメスがおり、体長は長いもので30cmにもなります。
メスのフィラリアは、犬の血液中にミクロフィラリアという幼虫を産むのが特徴です。
フィラリアの感染経路
フィラリアに感染した犬の血液中にはミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)がおり、蚊が感染犬の血液を吸血することで、ミクロフィラリアが蚊の体内に入り込みます。
こうしてミクロフィラリアが体に入り込んだ蚊が、別の犬の血液を吸血すると、吸血された犬もフィラリアに感染してしまうのです。
犬の体内にはいったミクロフィラリアは、月日をかけて成長をくり返し、心臓や肺動脈にたどりついて成虫になり、さまざまな循環器症状を引き起こします(フィラリア症)。
フィラリア症の症状は?
フィラリア症には、さまざまな症状があり、慢性的な症状と急性的な症状に分類されるのです。
まず、慢性では軽い咳、体重が減る、元気や食欲がなくなる、散歩を嫌がるなどの症状が初期に見られます。
そして中期になると慢性的な咳などが見られ、さらに進行すると胸水、腹水、心臓や肺など主要な臓器の機能不全が見られるようになり、最悪の場合には命に至るというように徐々に症状が進行していきます。
一方、急性的な症状は赤い尿がでたり、突然倒れたりと急速に命に関わる重篤な状態に陥るのです。
そのため、急性的な症状がでた場合には、一刻も早く心臓からフィラリアを取り除く処置をしなければいけません。
フィラリア症は予防が大切
フィラリア症は適切に予防することで100%防げる病気です。
ここでは、フィラリア予防の際の注意点や投薬期間、予防薬の種類について解説します。
フィラリア予防の注意点
フィラリア予防のためには、1ヶ月に1回の予防薬の投与が必要です。
予防薬を飲む前には必ず血液検査でミクロフィラリアに感染していないことを確認しなければいけません。
もし、感染しているのに予防薬を飲ませてしまうと重篤な副作用を起こすことがあります。
ですので、予防の前には必ず血液検査をしてから飲ませましょう。
獣医師がすすめる投薬期間
予防薬の投与期間は、蚊が出始めてから1ヶ月以内から、蚊がいなくなった1ヶ月後までが基本です。
そのため、5月から12月の期間にフィラリア予防薬を投与するのが相応しいと一般的には言われています。
しかし、蚊の活動期間は住んでいる地域の気温や気候変動の影響を受けるため、北海道では6〜11月、関東や関西では5〜12月、沖縄では通年など予防する期間にも違いがあります。
また、近年では温暖化の影響で気温が上がり、2024年は4月〜11月下旬や12月まで蚊が生息していた地域が多く、フィラリア予防薬も4月から翌年1月まで必要になる地域も出てきました。
ですので、フィラリア予防薬の通年投与(毎月1回1年を通しての投与)を推奨している動物病院が増えてきています。
フィラリア予防薬の通年投与には、薬の費用が高くなるといったデメリットがありますが、「季節はずれの暖かさ」により蚊に刺されるリスクも防げるため、通年投与を検討してみてください。
予防薬の種類と愛犬の体への負担について
フィラリアの予防薬には、飲み薬、スポット(滴下)タイプ、注射の3種類がありますが、ノミやダニなどを併せて予防できる飲み薬とスポットタイプが主流です。
飲み薬にはおやつ感覚であたえられるチュアブルタイプと、錠剤があります。
パピー犬やシニア犬のオーナーさんのなかには、「予防薬による体の負担が心配」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん、副作用があったり、副作用がほとんどない薬でも、摂る側の体質によっては副作用が出たりと、体への負担がゼロと言い切れる薬はありません。
しかし、フィラリア症は一度発症すると完治が難しく、治っても生涯に渡って投薬などの治療が必要になるため、愛犬にとってはフィラリア予防をしない方がかえって負担になるのです。
パピー犬は6週齢あるいは8週齢からであれば、フィラリア予防薬を投与しても問題ありません。
もし、パピー犬で体への負担が気になるようであれば、スポットタイプを使用しましょう。
シニア犬も同様に体への負担が心配であれば、スポットタイプの使用がオススメです。
まとめ
フィラリア感染は、正しく予防することで100%防ぐことができます。
フィラリア症は一度発症すると、治っても生涯に渡って投薬などの治療が必要になる場合もある病気です。
蚊にさされないようにすることは不可能に近いため、獣医師と相談し適切にフィラリア感染の予防をしましょう。