【獣医師監修・しっかり分かる!】小型犬と超小型犬の違いをプティシアン流に解説

目次

小型犬との違いは?超小型犬という分類があるの?

「チワワは超小型犬に分類される」というように、犬種のサイズで超小型犬、小型犬、中型犬など明確に区分されていると思われている方が多いのではないでしょうか?

一般的に、超小型犬とは成犬になったとき(生後10ヵ月以降)の体重が4kg満たない犬、小型犬は成犬になったときの体重が5〜10kg程度の犬を指します。

しかし、これはあくまでも一般的な概念によるもので、犬のサイズについての明確な定義は実はありません。
ちなみにプティシアンマガジンは、体重が5Kg以下の犬種を中心とした専門マガジンです。

日本で最大規模の犬に関する団体である、社団法人ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)においても、189犬種の分類は使役犬や愛玩犬など犬の用途や形態に基づいてしています。

犬種ごとに望ましいとされる体高や体重の記載はありますが、小型犬や中型犬、大型犬のようにサイズで犬種を分類することはしていないのです。

このように、小型犬、中型犬、大型犬というのは一般的な概念として分けられており、小型犬の中でもより小さなサイズを超小型犬、大型犬の中でもかなり大きなサイズを超大型犬と呼んでいます。

そのため、「この犬種はこの本では小型犬と書かれているのに、違う本では中型犬と書かれている」ということもよくあるのです。

なお、チワワなど成犬時の体重が4kg以下におさまる個体が多い犬種を超小型犬種、シーズーなど5kg〜10kg程度におさまる個体が多い犬種を小型犬種と記載しているケースも見受けられます。

 超小型犬サイズの犬種6選

次に、代表的な超小型犬サイズの犬種についてご紹介しますので、是非参考にしてみてください。

トイプードル

トイプードルは標準体重3kg前後で、超小型犬の中で特に人気の犬種です。

くるくるふわふわな巻き毛に、くりくりした瞳と、ぬいぐるみのような外見をしています。

また、人気が爆発したテディベアカットなど、さまざまなカットを楽しめることもトイプードルが人気の理由の一つです。性格は人懐っこく友好的で、人間や他の犬などとすぐ仲良くなることができます。

さらに、聡明で学習能力も高く、運動能力が高い犬種です。

ただ、トイプードルは定期的にトリミングをする必要があるため、それなりの費用がかかることを理解したうえでお迎えを検討するようにしましょう。

チワワ

超小型犬といえば一番にチワワを思い浮かべる方も多いことでしょう。

実際に、チワワは標準体重1.5〜3kgと世界で最小の犬種です。

華奢な体に、丸い形のアップルヘッド、大きくてウルウルとした大きな瞳と、可愛らしい見た目をしています。

チワワは非常に賢く、オーナーさんに対して忠誠心が強い性格の犬種です。

しかし、一方、よく知らない人に対しては尻尾を振って寄っていくことは少なく、内心怖がりで警戒心が強い一面もあります。

そういったチワワの性格を理解し、お迎えを検討するようにしましょう。

ポメラニアン

ポメラニアンは標準体重1.8〜3kgで、ぬいぐるみのようなふわふわでフサフサした被毛、背中に向けて巻いている尻尾と、可愛らしい顔立ちから根強い人気があります。

性格は忠誠心が強く、オーナーさんによく懐くため、しつけがしやすい犬種です。

ポメラニアンは一見おっとりした性格に見られがちですが、好奇心旺盛で活発な犬種で、家でのんびりするより元気いっぱいに運動することを好みます。

また、被毛が豊かなため、綺麗な被毛を保ち、抜け毛を予防するためには日頃からブラックなどのお手入れが必要です。

ですので、遊びや運動などのコミニュケーションや、お手入れに時間や手間がかかることを理解してポメラニアンをお迎えしましょう。

ヨークシャーテリア

ヨークシャーテリアは標準体重3.2kg前後で、動く宝石と表現されるほど、スチールブルーといわれる犬種独特の青灰色とタン色のシルクのようななめらかで光沢のある被毛、つぶらな瞳が魅力の犬種です。

日本では昔から室内飼育の犬種として好まれ、テリア種の中では一番人気があります。

被毛が伸びる犬種のため、リボンなどのヘアアクセサリーをつけたりなどの楽しみ方ができることもヨークシャーテリアが人気の理由の一つです。

性格は勇敢で愛情深いですが、一方、テリア種のため頑固すぎる一面もあります。

その頑固強さから、しつけが入らない場合もあるため、トレーニングに気長に付き合ってあげる必要があることを理解したうえでお迎えを検討しましょう。

マルチーズ

マルチーズは標準体重3.2kg以下で、純白で真っ直ぐな長い被毛と、可愛らしい顔が魅力の犬種です。

性格は陽気で明るく、オーナーさんと一時も離れたくないというほどの甘えん坊で、そんな性格から人気があります。

ただ、強制的なことを嫌う一面もあるため、ほめながら上手にしつけをする必要があることを理解し、お迎えを検討しましょう。

カニーヘンダックスフンド

カニーヘンダックスフンドは標準体重3〜4kgと、小型犬に分類されるミニチュアダックスフンドよりもさらに小さく、ダックスフンド種の中で最も小型な犬種です。

短めの足や長めの胴といった愛らしい体型と、長いマズルにくりっとしたアーモンドアイ、垂れた耳が愛らしく人気となっています。

また、カニーヘンダックスフンドは、毛の短い「スムース」、毛の長い「ロング」、毛量の多い「ワイヤー」と毛の長さによって種類が分かれているのです。

基本的な性格は明るく陽気で、オーナーさんが大好きな甘えん坊ですが、スムースは活発で好奇心旺盛、ロングは穏やか、ワイヤーは気が強めとそれぞれの種類ごとの傾向があります。

ただ、元々狩猟犬ですので、警戒心が強く吠えやすい犬種です。

ですので、マンションやアパートの場合にはしっかり検討してからお迎えするようにしましょう。

超小型犬サイズのはずだったのに小型犬サイズに成長してしまう子がいるのはなぜ?

日本では、室内で一緒に暮らせる小型犬が人気です。

さらに、同じ犬種であれば、より小さなサイズの個体が好まれる傾向にあります。

そのため、通常サイズのトイプードルに比べて、ティーカッププードルと呼ばれる極小サイズの個体が、より高い値段で販売されているのです。

ところが、「体重が4kg以下におさまる超小型犬種を迎えたかったのに、成長したら4kgどころか5kg、6kgを上回ってしまった」というケースも耳にします。

動物病院でも、「この子、チワワにしてはやけにサイズが大きいですよね?」や、「豆柴と言われてお迎えしたのに、通常の柴犬サイズに成長したんですが、こんなことってよくあるんですか?」など、オーナーさんがおっしゃっている場面に遭遇することも少なくはありません。

これは、「ブリーダーに騙されたということは絶対ない!」とは言い切れませんが、それよりも遺伝的な要因や、成長ホルモンの分泌量の差異などが原因の可能性が高いと考えられます。

人でも小柄な両親から生まれた子どもが高身長に成長したり、その逆のケースもありますよね?

また、両親より前の祖父母の世代や、それ以前の世代から世代を飛ばして遺伝しているように見える、隔世遺伝という遺伝現象もあることも知られています。

犬では人のように遺伝についてまだ詳しくは解明されていません。

ですが、両親犬が超小型サイズだったとしても、生まれてきた子犬が両親犬より前の世代の犬の遺伝的な影響を受け、オーナーさんが期待していたサイズより大きく成長することが普通にありえると理解しておきましょう。

期待したサイズより大きく育ってしまっても、その子のチャームポイントだと思えるようになるケースがほとんどなため、サイズ面で過度に神経質になることなく超小型犬を迎え入れましょう。

超小型犬と暮らす大変な点、暮らしやすい理由、メリットやデメリット

人気の高い超小型犬にも、一緒に暮らすうえでのメリット・デメリットの両方があります。

ここでは、それぞれの内容を具体的に見ていきましょう。

暮らしやすい理由について(メリット)

超小型犬と暮らす最大のメリットは、人気の理由でもある飼育のしやすさです。

この飼育のしやすさとはどういった部分なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

散歩の時間や距離が短くてすむ

「超小型犬に散歩はいらない」と思っているかたもいらっしゃるかもしれませんが、超小型犬にも適度な運動は必要です。

室内の運動だけで適切な運動量をまかなえる超小型犬もなかにはいますが、ストレス解消や社会性を育てるためにも、散歩には連れて行きましょう。

ただ、超小型犬の散歩は1日2回、20〜30分ほどと、大きい犬種に比べて運動量もそこまで必要なく、時間も距離も短くすみます。

また、雨の日も、外でしか排泄できないなど、絶対に散歩に行かないといけない理由がある場合以外は、室内で遊んであげて運動させるので十分です。

飼育にスペースをとらない

そこまで広い居住スペースがなくても、超小型犬であれば飼育することができます。

また、中型犬や大型犬は体を動かせるような広々とした空間が必要ですが、超小型犬の場合はそれほど広い面積を必要としません。

そのため、マンションやアパートなど間取りや広さに制限がある住まいでも飼育しやすいというのがメリットです。

体重が軽いので、お出かけさせやすい

超小型犬は体重が軽いため、抱っこしたり、キャリーやスリングに入れたりと、どこにでも手軽に一緒にお出かけできます。

例えば、散歩途中に犬が立ち止まって動かなくなってしまった場合にも、大型犬などは犬に歩いてもらうしかありません。

しかし、超小型犬であれば抱っこしてそのまま散歩したり、家に連れ帰ることが可能です。

また、怪我や病気をした場合も、大きな犬種は動物病院に連れていくのも一苦労ですが、超小型犬なら容易に連れていくことができます。

飼育コストが少なくてすむ

一般的にドッグフードの給与量は体重で決まるため、大きい犬種に比べて、超小型犬は1日のご飯の量が少量なため、ご飯代が少なくてすみます。

また、毎年の予防に必要なフィラリア薬や駆虫薬などといった薬代も、体が小さいほど安価な場合がおおく、医療費を少なく抑えることができるのです。

さらに、超小型犬では備品や消耗品のコストも少なくすむので、他のところにお金をかけてあげることができるでしょう。

シャンプーなどのお手入れが楽

超小型犬は体格が小さいため、シャンプーやドライヤー、グルーミングなどのお手入れが比較的短時間で楽にできます。

また、大型犬では2人がかりでするような爪切りなどのお手入れも、超小型犬種では人手がかからないこともメリットです。

寿命が長い

中型犬や大型犬と比べ、超小型や小型犬は寿命が長い傾向にあります。

愛犬とはできる限り長く一緒に過ごしたいと思うオーナーさんが大半でしょう。

長く生きやすい超小型犬は一緒に大切な時間を長く紡いでいけるため、これも大きなメリットと言えます。

暮らす時に大変なこと(デメリット)

超小型犬の良いところは上げると沢山ありますが、その分やはり大変に感じるデメリットもあります。

デメリットもしっかり理解した上でお迎えするようにしましょう。

体が華奢なので怪我にはより注意が必要

超小型犬は体が小さいため、骨や関節なども中型犬や大型犬と比較して華奢です。

そのため、高い所から飛び降りたりして骨折や脱臼をしたり、転倒など小さなきっかけで怪我をしたりすることがあるため、この点はオーナーさんが注意しなければいけません。

また、超小型犬は衝撃に弱いため、オーナーさんのちょっとした動作や行動が事故につながることもあります。

例えば、オーナーさんの不注意で踏んでしまったり、ドアに挟んでしまったり、しっかり抱っこをせず落としてしまったりなどです。

温度の影響で体調を崩しやすい

体が小さい超小型犬は、寒さに弱いため、室内ではエアコンで暖かさを保ったり、散歩では洋服を着せたりなど冬場は防寒対策が必要になります。

また、夏場になると、超小型犬は体高が低くアスファルトとの距離が近いため、アスファルトの熱を感じ、より暑さを感じるため、熱中症に注意する必要もあるのです。

このように、体の大きい犬種より、超小型犬は温度の影響をより受けやすく、体調を崩しやすいため注意しましょう。

さらに、体が小さいと、嘔吐や下痢を起こした場合には、脱水症状になりやすいといった心配もあります。

そのため、超小型犬は些細な体調不良でも早めに動物病院を受診するようにしましょう。

警戒心が強い子が多い

体が小さい犬種は、比較的怖がりな傾向があります。

これは、自分より体の大きな生物が多いため、怯えがちだということも要因の一つです。

臆病であるがゆえ、警戒心の強さから、散歩のたびにすれ違う人や他の犬に吠えたり、来客があるたびに吠えたりと無駄吠えに繋がる場合があります。

また、この臆病な性格から愛犬がオーナーさんに依存することも少なくなく、依存が強いと分離不安といった問題行動として現れることもあるのです。

超小型犬と快適に暮らすためポイント

最後に、超小型犬と快適に暮らすためのポイントをご紹介しますので、是非参考にしてください。

子犬の頃からしつけをしっかりする

上でお伝えしたように、超小型犬は怖がりな傾向があり、これが無駄吠えなどの問題行動につながる場合があります。

また、臆病なため、オーナーさんからなかなか離れようとしない、分離不安になることもあるのです。

こういった問題行動は、子犬の頃から適切な無駄吠えのしつけや、留守番などの練習をすることにより、防げる可能性があります。

なかなかスムーズにしつけが進まない場合でも、根気強く気長に教えることが大切です。

怪我に注意を払って過ごしやすい環境を作る

超小型犬は日常のささいな行動でも怪我につながりやすいため、怪我を防ぐための環境を整えましょう。

高い所に登らせないや、高い所からジャンプしないなどのしつけをすることはもちろんですが、以下のような工夫が必要です。

・ソファやベッドなどは高さの低いものを選ぶ
・段差にスロープやステップを設置する
・階段やソファなどの下にクッションになるものを置く
・極力段差をなくす

さらに、超小型犬は骨格が華奢で骨が細いため、転倒の衝撃でも、骨折や膝蓋骨脱臼、ヘルニアを起こす場合があります。

ですので、フローリングなどの滑りやすい床にはカーペットやマットなどを敷いて、転倒を防いだり、足腰に負担がかからないように注意しましょう。

犬の行動にしっかり気を配る

超小型犬は体が小さいため、オーナーさんが足元にいることに気付かず、不注意で踏んでしまい、犬が怪我をする事故がたびたび見られます。

その他にも、しっかり抱っこをせず、犬が突然暴れ出して落としてしまったり、後から犬が付いてきていることに気づかず、ドアに思い切り挟んでしまったりなどです。

こういった人のちょっとした動作や行動が事故につながることも少なくはなく、超小型犬は衝撃に弱いため、このような事故が致命傷になることもあります。

ですので、犬の行動にしっかり気を配り、オーナーさん自身も自分の行動に注意するよう意識するようにしましょう。

最後に

超小型犬は、小柄で愛くるしい雰囲気や、マンションやアパートでも飼育しやすいため大きな人気を集めています。

活発で人懐っこい性格が多い超小型犬は、オーナーさんのきっと素敵なパートナーになってくれるでしょう。

是非この記事を参考に、超小型犬と快適に過ごすためのポイントをしっかりおさえて、お迎えの事前準備や子犬から適切なしつけを行うことで、愛犬とより豊かな生活を送っていただければ幸いです。

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