「愛犬がしつこく手や足を噛む」
「叱っても逆に噛みつく行動が増える」
こうした噛み癖のある小型犬・超小型犬に悩むオーナーさんは少なくないでしょう。
噛み癖を直すには、原因を把握し、それに応じた対応が欠かせません。
本記事では、子犬が噛む理由や具体的な嚙み癖対策を元犬の訓練士である筆者が詳しく解説します。
愛犬にとって「噛む」は本能的な行動!
犬には噛むという本能的な習性があることを理解しておきましょう。
愛犬は手の代わりに口を使うため、何かを噛むことは自然な行動です。
そのため、噛む行動を完全にやめさせるのは容易ではありません。
しかし、愛犬に噛むべきでない物を理解させることは可能です。
嚙み癖のしつけにはある程度の時間がかかるので、根気強く向き合いましょう。
小型犬・超小型犬の子犬が噛む原因
小型犬・超小型犬の愛犬がオーナーさんや物を噛むときには、何かしらの理由があります。
愛犬が噛む原因の一例は、下記の5つです。
- ストレスを抱えている
- 興奮している
- 歯がむずむずする
- 防衛本能が働いている
- しつけ方法が間違っている
噛み癖を直すには、原因に合った対処が不可欠です。
それぞれの噛む原因を詳しく解説します。
ストレスを抱えている
運動不足の愛犬は、ストレスがたまって物やオーナーさんを噛むことがあります。
小型犬・超小型犬の愛犬は、運動量があまり必要ないと考えているオーナーさんもいるため、十分な運動量が確保できていない可能性があります。
運動量が確保できていないとストレスが溜まり、嚙み癖や無駄吠えにつながります。
小型犬・超小型犬の愛犬でも、1日2回は散歩に行きましょう。
また、オーナーさんが構ってくれない、引っ越しをして環境が変わったなどもストレスの原因となります。
噛むだけでなく、よく吠えたり室内で走り回ったりしているときは、ストレスを疑いましょう。
興奮している
来客やオーナーさんとの遊びなどで興奮したとき、勢いで噛むことがあります。
とくにポメラニアンやトイプードルなど活発な愛犬は、興奮が原因で噛むケースが少なくありません。
犬同士で遊ぶときには、遊びで嚙み合うことがあります。
しかし、オーナーさんと遊ぶときには、ルール違反です。
興奮による噛みつきは、噛んではいけないことをしっかり伝える必要があります。
歯がむずむずする
子犬は生後半年頃に、乳歯から永久歯に生え変わります。
歯の生え変わり時期は口の中がむずがゆくなり、硬い物を噛もうとする愛犬は多いでしょう。
犬種や個体差によって異なりますが、小型犬は大型犬よりも比較的早く生え変わりが始まるとされています。
生後半年から1歳になるまでに家具などの硬い物を噛むときは、歯がむずむずしていると認識しておきましょう。
防衛本能が働いている
恐怖や不安を感じた愛犬は、自分を守るために噛むことがあります。
とくにチワワやマルチーズなど神経質な一面がある愛犬は、防衛本能がほかの犬よりも強いとされており、恐怖や不安で噛む可能性が高いです。
噛む前に唸っていたり、体が震えていたりするときは、防衛本能が働いている判断しましょう。
しつけ方法が間違っている
遊びや興奮の延長で噛んでも「痛くないからいいか」と放置していませんか?
小型犬は、口があまり大きくないため、噛まれてもあまり痛みを感じないため放置しがちです。
しかし噛み癖を放置すると、エスカレートする可能性があります。
噛まれたときには、『ダメ』『いけない』という言葉と態度で明確に伝えましょう。
しつけをしていても噛み癖が直らないときは、しつけ方法を見直しましょう。
小型犬・超小型犬の子犬の噛み癖対策
ここからは、小型犬・超小型犬の愛犬の噛み癖を直す方法を解説します。
- 原因ごとに適切な対応をする
- 室内の環境を整える
- 噛んでも良いおもちゃを与える
- 「お座り」や「待て」などのコマンドを教える
- 小型の愛犬から目を離さない
それぞれの対策を詳しくみていきましょう。
原因ごとに適切な対応をする
噛み癖を直すときに一番大切なことは、噛む原因を知ることです。
たとえばストレスが原因の場合は、運動量を増やし、愛犬と遊ぶ時間を多めに確保してエネルギーを発散させることが効果的です。
興奮が原因の場合は、興奮させないような接し方を心がけることが大切です。
噛んでくるときの様子をしっかり観察し、原因に合わせて対処しましょう。
室内の環境を整える
家具や小物などへのいたずら噛みは、室内の環境を整えることを防止できます。
愛犬が噛みそうな電気コードや人間用のおもちゃ、リモコンなどは、愛犬の届かない場所に片付けましょう。
また、大きな家具などの動かせない物は、仕切りや保護用のカバーを設置することで噛むリスクを減らせます。
下記の記事では、愛犬が家具を噛むときの対処法を紹介しています。
いたずら噛みがひどいときは、ぜひ参考にしてください。
https://petitchienmagazine.com/biting-habit/
噛んでも良いおもちゃを与える
犬にとって噛むという行為は本能的な行動なので、噛む行動をすべてやめさせるとストレスにつながります。
そのため、愛犬がストレス発散できるように、噛んでも良いおもちゃを用意しましょう。
おもちゃは、耐久性のある物を選ぶことが大切です。
また、中の綿が出ていたり部品がとれそうになったりしているおもちゃは、誤飲事故が起こる可能性があるため、古くなったら処分しましょう。
小型の愛犬におすすめの噛むおもちゃを2つ紹介します。
MyBESTiee カミカミボーン ラテックストイ
天然ゴム100%で作られたおもちゃです。
化学物質や有害な添加物などは一切不使用。
人間のあかちゃんのおもちゃにも使われる塗料を使用しており、愛犬の安全に配慮したおもちゃといえます。
ボンビアルコン デンタルアニマルズ
編まれているロープを噛むことで、デンタル効果が期待できるおもちゃです。
小型の愛犬でも遊びやすいサイズ感。
柔らかな噛み心地で、子犬の頃から使用できます。
「お座り」や「待て」などのコマンドを教える
子犬は、オーナーさんが触ったり、一緒に遊んだりすると、興奮しやすいでしょう。
愛犬が興奮してしまったときには、「お座り」や「待て」などの指示を出し、クールダウンさせると噛み癖を軽減できます。
「お座り」や「待て」などのコマンドは、恐怖や不安から噛む愛犬にも効果的です。
どのような状況でも、オーナーさんからの指示が通るように練習しておきましょう。
小型の愛犬から目を離さない
子犬は飼い主が少し目を離した隙に、物を噛んでイタズラをしてしまうことがよくあります。
愛犬が何かを噛んでいるのに気づかないと誤飲事故につながる可能性もあるため、常に目を離さないことが大切です。
オーナーさんが長時間愛犬から離れるときには、愛犬をケージに誘導することをおすすめします。
ケージの中であれば、いたずら噛みができないため、誤飲事故の予防にもつながります。
小型犬の子犬の噛み癖をしつけるときの注意点
ここからは、嚙み癖をしつけるときの注意点を2つ紹介します。
- 大声で叱ったり叩いたりしない
- 噛む前に予防する
間違った方法でしつけると、嚙み癖は悪化する可能性があります。
以下の注意点を守り、愛犬の噛み癖に適切に対応しましょう。
大声で叱ったり叩いたりしない
愛犬が何かを噛んだときに大声で叱ったり叩いたりすると、かえって不安や恐怖から噛み癖が悪化することがあります。
とくに小型の愛犬は、オーナーさんの大きな声に委縮しやすいので注意が必要です。
また、叩かれた経験から手に対して恐怖を抱き、手が近づくだけで手に攻撃的になるケースも少なくありません。
噛んではいけない物を噛んでいるときは、落ち着いた低い声で短く「ダメ」「いけない」と伝えることを心がけましょう。
噛む前に予防する
噛み癖を改善するには、噛んでから対処するのではなく、噛む行動そのものを未然に防ぐことが重要です。
たとえば、興奮して手を噛んでしまう場合は、興奮させない接し方を意識しましょう。
また、歯が生え変わる時期に噛む場合、噛んではいけない物を片付けておくと、いたずら噛みが予防できます。
噛む前に予防するには、愛犬が噛む理由をしっかり把握し、それに合った対応をとることが欠かせません。
小型犬・超小型犬の子犬の噛み癖はいつまで続くの?
子犬の噛み癖は、噛む原因によっていつまで続くか異なります。
歯の生え変わりが原因になる噛み癖の場合は、1歳前後でおさまることが一般的です。
また、興奮からくる噛み癖は、愛犬の性格が落ち着いてくる2~3歳頃には落ち着くケースが多いでしょう。
しかし、噛み癖に対して適切に対処しないと、歳を重ねても直らないことがあります。
噛み癖が悪化しないように、ここで紹介した対処法を参考にして、愛犬の嚙み癖と向き合いましょう。
まとめ
子犬が噛む原因は、ストレスや防衛本能、興奮などさまざまです。
たとえば、チワワやマルチーズは防衛本能が強く、不安や恐怖心から噛むことが多い傾向があります。
一方、ポメラニアンやプードルは興奮しやすく、遊びの中で噛んでしまうことが少なくありません。
子犬の噛み癖を改善するには、噛む前にその原因を特定し、適切な対応を行うことが大切です。
この記事を参考に、愛犬の噛み癖対策を進めていきましょう。