愛犬撮影のカメラ設定がバッチリわかる!基本知識5つを優しく解説

ミラーレス一眼やiPhone(スマートフォン)で愛犬を良く撮影するけれど、なんだかパッとしない。

カメラの設定方法がわからなくて、オートでしか撮っていないから?

もっとセンスの良い写真やインスタ映えする写真を撮影したい、レベルアップしたい、という愛犬家のみなさんに、カメラの設定を理解するための基本的な知識・専門用語を優しく解説。

知識がまったくない初心者・ビギナーでも、露出、絞り、シャッタースピード、ISO感度の4つを知れば、カメラ設定の仕組みが簡単にわかります!

目次

カメラの仕組みの基本の「き」

超えられない壁。カメラの基本性能が決まる「イメージセンサー」の大きさ

カメラの設定には色々な専門用語が出てきますが、その前に知っておくと役に立つ、カメラの基本性能についてのお話から始めたいと思います。

たとえば、ミラーレス一眼とスマートフォンは、何が違うのでしょうか。

デジタルカメラ(iPhoneを始めとするスマートフォンや、ミラーレス一眼、デジタル一眼など)には、私たちが目で見ている景色(光)を電気信号に変換する「イメージセンサー」というものがあります。

イメージセンサーが電気信号に変換してくれるから、デジタルデータとなって、スマホやパソコンに表示させたり、インターネットで送信したりできるんですね。

そしてイメージセンサーは、原則としてサイズが大きいほど高性能です。少ない光でも、鮮明でノイズが少ない画像を作れます。

センサーのサイズはカメラごとに決まっており、これがカメラの基本性能になるわけです。

ミラーレス一眼でトップクラスのシェアを誇るソニーのサイトを参考にすると、一般的なスマートフォンのイメージセンサーの大きさを「1」とすると、ミラーレス一眼カメラ(フルサイズ)のセンサーサイズは約30倍にもなると紹介されています(もう少し安価なAPS-Cサイズの場合は約13倍)。

このように、スマートフォンとミラーレス一眼の間には、越えられない壁があります。

ただし、良い環境の場合(主に、光が十分にある、日中の屋外など)では、iPhoneでもミラーレス一眼でも差がつきにくく、一般の人の目には見分けられないケースも少なくありません。

センサーサイズ=性能の差がはっきり出るのは、条件が悪いときです。

たとえば暗い夕方や夜、明暗がはっきりし過ぎているときなどは、iPhoneで思い通りに撮影するのは難しくなります。

また、背景を自然にぼけさせるのは、イメージセンサーが大きいカメラの得意分野です。

光の強さ、量、当てる時間の3つで写真が決まる

カメラごとに基本性能があるという前提で、そのカメラで最も綺麗な写真を撮影しようと私たちは頑張ります。

ここで重要なのは、カメラのレンズを通して入ってくる光を、イメージセンサーに、多すぎず・少なすぎず、必要十分なだけ当てることです。

写真の出来上がりを決めるのは、次の3つの要素です。

①光の明るさ

②光の量

③光がセンサーに当たる時間

光が弱いなら、たくさんの光を長い時間当てる。光の量が少ないなら、強い光を長い時間当てる。光を短い時間しか当てられないなら、強い光をたくさん当てる。

どれかが欠けてしまうと、せっかくの可愛い愛犬の写真が、ノイズだらけになってしまったり、暗くなってしまったり、ブレブレになってしまったりします。

普段、こんな小難しいことは考えずに撮影していると思います。カメラやスマートフォンが自動調整してくれているからです。

センサーサイズが大きければ、限界が高いので、オートでも破綻のない写真が撮りやすいわけですね(だからスマホよりもミラーレスのほうが性能がいいと評価されます)。

問題は、条件が悪くて、カメラの性能の限界を超えてしまったときです。

露出(ろしゅつ)=写真の明るさを決める

カメラの設定で「露出」って?

さっそく、カメラの設定の解説に入っていきましょう。まずは露出(ろしゅつ)。

多くの場合、最優先で調整すべき設定になります。もし3つも4つも専門用語を覚えるのは大変……と思ったら、露出だけ覚えてください

露出は、「-0.7」「-1.0」「+0.3」などの数値で表します。0.3または0.4刻みなので、ちょっととっつきにくいかもしれませんね。

トイプードルの写真。適正露出と、露出アンダーの例。

露出は、出来上がりの写真の明るさを決める設定です。

プラスにすると明るく、マイナスにすると暗く仕上がります。

概念としては、イメージセンサーにどれだけ光を露出させるか=適切な光の強さ・量・時間を決めること。

しかしカメラの設定を考えるときにはそこまで難しく考える必要はなく、シンプルに「出来上がりの写真の明るさが決まる」と覚えておけば大丈夫です。

役に立つシチュエーション

なんと言っても、夕方や夜など暗い時の撮影で大活躍します。

たとえば夕方に暗くなってきて、ノイズだらけの荒い感じの写真になってしまうときは、露出を「-0.7」「-1.0」くらいに設定してみると、目で見た景色に近い明るさの写真になり、ノイズも大きく減っているはずです。

夜になるとシチュエーションによっては「-2.0」や「-3.0」に設定するケースもあります。

露出をマイナス、つまり通常よりも暗い写真でいいよ、とカメラやスマートフォンに指示することで、必要以上に光を取り込もうとせず、無理なく画像を作れるようになるからです。

カメラは、愛犬(被写体)がよく見えるように、夕方でも昼間のように明るく写真をつくろうとします。

でも多くの場合、私たちは、目で見ている景色に近い写真を撮りたいと思っているはずです。夕方であれば、夕焼けに溶け込むような、少し暗めの写真も味があっていいですよね。

こういうときは、カメラのオートに任せっぱなしにせず、露出の設定を調整することで、思い通りの写真に近づけることができます。

絞り(しぼり)/f値=ぼけをコントロール

レンズを通過する光の量を「絞り」で調整

今度はカメラ本体ではなく、レンズ側のお話です。

ミラーレス一眼カメラや、デジタル一眼カメラの交換式レンズの中には「羽根」と呼ばれる機構があり、これが広がったり縮んだりして、光が通過できる穴の大きさが変化します。

スマートフォンのレンズには「羽根」機構はないものがほとんど。つまり絞り(光が通過できる穴の大きさ)は決まっており、スマートフォンでは絞りの調整はできません。残念!

写真を決める3つの要素(①光の明るさ ②光の量 ③光がセンサーに当たる時間)のうち、

②光の量

をコントロールするわけです。

絞り(しぼり)は、「f/1.8」「f/4」「f/5.6」「f/8」などで表されるので、f値(えふち)とも呼びます。こちらも数字の刻み方が独特です。

f値は小さいほど、光が通る穴が大きくなります(小さいと大きくなる、というのは少し覚えにくいですね)。暗いときは、f値を小さくして、たくさんの光が通れるようにすればいいわけですね。

もう一つ重要なのは、f値が小さくなると、ピントが合う奥行きが狭くなることです。つまり、ピントが合っている場所以外が、よくぼけるようになります。

きれいなぼけの写真を撮りたいなら、f値は小さくしましょう。

役に立つシチュエーション

ポメラニアンの写真の背景がぼけている例とぼけていない例

なんと言っても、ミラーレス一眼や、デジタル一眼で、愛犬を際立たせて、背景を綺麗にぼけさせたい場合です。

汎用レンズでは「f/5.6」や「f/4」。大口径レンズと呼ばれる高品質レンズなら「f/2.8」「f/1.8」「f/1.4」まで小さくできるものが主流です。

「f/5.6」と、「f/2.8」以下では、ぼけ味や解像感はまったく異なり、レベルが違います。いい写真を撮りたいならいいレンズ(大口径レンズ)を、と言われるのはこのためです。

大口径レンズを使い、「f/2.8」以下で愛犬にピントを合わせて撮影できるなら、びっくりするようなクオリティの写真になるはずです。

また、集合写真を撮りたい場合は、「f/5.6」や「f/8」あたりまで絞りを大きくします。なぜなら、絞りが小さすぎるとピントが合う範囲が狭く、前の子にピントをあわせると後ろの子がぼけてしまう、といったことが起こるからです。

広大な景色など風景写真を撮る場合も、ピントが合う範囲を広くするため「f/8」以上にするケースが多いです。

シャッタースピード=元気に駆ける愛犬もしっかり撮影

センサーに光を当てる時間を決める(ブレに注意)

写真を決める3つの要素(①光の明るさ ②光の量 ③光がセンサーに当たる時間)のうち、

③センサーに当たる時間

をコントロールします。シャッターは普段は閉じていて、撮影ボタンを押したときだけ一瞬開いて、センサーに光を当てる時間を調整します。

シャッタースピードは「1/100」「1/125」「1/160」などと表します。「1/100」なら1秒の100分の1だけシャッターを開けるということです。

夕方や夜など暗いときは、シャッタースピードを遅くすれば十分な光を取り込めます。ただ、あまり遅くすると、手ブレや被写体ブレで、残像のようになってブレた写真になってしまいます。

手ブレ……カメラを持っている手が動いてしまうためのブレ

被写体ブレ……愛犬など被写体が動いてしまうためのブレ

役に立つシチュエーション

1つは、室内や、夕景や夜景の中など、暗くて光量が十分でない場面です。

何も考えずに撮影すると、ノイズの多い荒い写真になりやすくなります。

そこで、シャッタースピードを遅くします。少ない光なら、イメージセンサーにいつもより長い時間当てよう、ということです。するとノイズの少ないきれいな写真になりやすくなります。

ただし、あまりシャッタースピードを遅くしすぎると、手ブレ・被写体ブレをしてしまいます。

手ブレは、性能のいいカメラやレンズであれば、手ブレ防止機能が解消してくれることもあります。

しかし、愛犬は完全には静止できません。愛犬が動いてしまうことを考えると、シャッタースピードの下限は「1/80」「1/60」くらいでしょうか(状況にもよるので、シャッタースピードを変えて試してみてください)。

2つめは、愛犬が駆け回っていたり、元気にじゃれていたり、躍動感のある写真を撮影したい場合です。

被写体の動きが速いと、そのまま撮影しては被写体ブレをしてしまいます。

もし十分な光量のある屋外であれば、シャッタースピードを「1/400」から「1/1000」程度まで速くしてみましょう。ブレない鮮明な写真を撮影できます。

ISO感度(いそかんど、あいえすおーかんど)=暗いときに大活躍

ISO感度のメリットとデメリット

ISO感度は「ISO100」「ISO400」「ISO6400」などと表します。

数字が大きくなるほど、光を増幅することができます。暗い中でも撮影しやすくなるのがメリットです。

一方で、光を増幅するとノイズが増えて、荒いザラザラ感のある写真になってしまうのがデメリット。夜に撮影するとザラザラの写真になってしまうことがあるのは、ISO感度が理由なわけですね。

カメラの性能にもよりますが、「ISO3200」程度から気になり始め、「ISO6400」以上になると、一般の人でも目に見えて劣化がわかるケースが多いです。

役に立つシチュエーション

夕方や夜、室内など、暗くて光がどうしても足りない場面で、カメラの性能を(画質と引き換えに)底上げしてくれます。

大前提として、ISO感度は最後の手段です。基本数値である「ISO100」より上にしないで済むなら、しないほうがいいです。そのほうがきれいな写真を撮影できます。

ただ、光が絶対的に足りず、写真を決める3つの要素(①光の明るさ ②光の量 ③光がセンサーに当たる時間)をどう調整しても、どうしてもまともな写真にならないときは、ISO感度の出番になります。

それほど極端なシチュエーションでなくても、「ISO800」「ISO1600」などに上げることで、シャッタースピードに余裕が出て、たとえば室内で愛犬が走り回っていてもブレない写真を撮影しやすくなる、など活躍することもあります。

まず露出の設定から始めて少しずつステップアップ

ミラーレス一眼やスマートフォンなどカメラの設定方法に迷う愛犬家のみなさんに向けて、露出、絞り、シャッタースピード、ISO感度について紹介しました。

一気に全部を覚えようとすると大変ですが、まずは最優先で調整したい露出の設定から始めて、少しずつステップアップしてくださいね。

きれいなぼけの写真を撮影したいなら、絞りに注目するのもおすすめです。

プティシアンマガジンでは、センスの良い写真やインスタ映えする写真を撮影できるようになるためのコツを、他にも様々に紹介しています。

ぜひチェックしてみてくださいね。

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