生活は特に変えていないのに、愛犬に「下痢しやすくなった」「ご飯を食べる量が極端に減った」「夜泣きをするようになった」「震えが出るようになった」といった症状がでるようになり、困っているオーナーさんもいらっしゃるのではないでしょうか?
その症状は、実は老化のサインかもしれません。
プティシアン(小型犬、超小型犬)は7〜10歳がシニア期に入る目安。ワンちゃんの老化によって起こりやすい症状と、老犬が愛らしいまま豊かな生活を送るために意識したい、6つのポイントをご紹介します。
老犬になると出やすい4つの症状
下痢しやすくなる、下痢が続く
ワンちゃんは年を取ってくると、消化器官の働きが鈍くなり、下痢しやすくなります。
また、視力や聴力が落ちることで不安を感じやすくなってしまい、そのストレスによってさらに消化器官の働きが弱まり、下痢してしまうこともあります。
その他に、老化によって腸内の悪玉菌と善玉菌のバランスが崩れやすくなったり、体温調節機能が低下して冷えやすくなったりするのも、下痢をおこす原因です。
もちろん、他の病気が隠れていることもありますので、下痢の症状がでたら早めに動物病院に相談するようにしましょう。
おうちでは、
- シニア期用のフードに少しずつ変更する
- フードをふやかして消化しやすくする
- 室温を調節する
などの対策をして、愛犬の様子を見ながら環境を整えてあげられるといいですね。
ご飯を食べない、食べる量が極端に減る
愛犬が、今まで食べていたご飯を食べなくなるのも、老化のサインのひとつです。
原因には、
- 味覚や嗅覚が衰えて食欲が出ない
- 立位姿勢を保ちにくく食べる途中でやめてしまう
- 歯周病などのお口のトラブル
- 気圧の変化
など、様々にあげられます。
フードは少し温めてあげると、風味が増して食欲が刺激されることがあります。
また食事の場所には滑りにくいマットを敷いたり、食事中体を支えてあげたりと、ゆっくり食べられる環境を作ってあげるといいでしょう。
また、シニア期に増える、腎臓疾患や、心臓疾患などの病気が原因の場合もあるので、全く食べない場合は早めに動物病院を受診してください。
夜泣きする
夜泣きの主な原因は3つあります。
- 体の不調を訴えている
- 精神的な不安
- 認知症
体の不調の具体的な例としては、
- 体の痛み
- 暑さや寒さ
- トイレや空腹
など、様々です。何が不快なのかをひとつひとつ試しながら探してあげると落ち着くかもしれません。
また甘えたい・離れて眠るのが怖いといった、精神的な不安からくる夜泣きや、認知症によって昼に眠り続け、夜起きて夜泣きするケースもあります。
精神的な夜泣きの場合、夜寝るときに、オーナーさんがワンちゃんのそばで眠るようにすると改善することがあります。
オーナーさんの匂いを近くに感じると、ワンちゃんが安心しますし、体調変化があったときに気づきやすいのでおすすめです。
夜泣きがひどく、オーナーさんが寝不足になってしまう場合には、ワンちゃん用の睡眠薬などの内服薬を処方してもらう方法もありますので、獣医師に相談してみてくださいね。
震え
ワンちゃんの震えの原因には、足腰が弱っていたり、体温が下がり寒さに弱くなっていたりといった生理的な問題での震えや、不安や恐怖といった精神的な問題での震えなどが挙げられます。
生理的な震えであれば、筋力を維持できるような適度な運動や、関節を保護するサプリメントで改善することがあります。
精神的な問題での震えの場合は、オーナーさんがそばで寄り添い、ワンちゃんに安心感を与えてあげるといいでしょう。
また震えは、関節の病気や脳神経系の病気など、あらゆる病気の症状のひとつでもあるので、病気が原因の震えの場合もあります。
獣医師に相談して震えの原因を調べてもらい、ワンちゃんの症状に合った対応をとれるようにするといいでしょう。
プティシアンは、7~10歳頃からシニア期に入る
元気はあるけど、うちの子はもう老犬なのかしら?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
基本的に、「〇歳から老犬」という明確な基準はありません。そこで、老化の症状が出始める7歳頃、または老化の症状が顕著になる10歳頃を目安に、愛犬がシニア期に入ったと認識して、接するといいでしょう。
ワンちゃんによって老化の症状が出始める年齢は違います。だからこそ、オーナーさんが愛犬の老化のサインに気づき、愛犬がシニア期に入ったことに気づいてあげられるといいですね。
また、年々ワンちゃんの平均寿命は伸びており、2022年度の犬の平均寿命は、2010年度に比べ約1歳分伸びています。
一般社団法人ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」によると、プティシアンに多い犬種では、超小型犬(チワワ・ポメラニアン・ヨークシャーテリアなど)の平均寿命は15.31歳、小型犬(トイ・プードルなど)の平均寿命は14.28歳となっています。
長生きできるようになったことで、ワンちゃんのシニア期が長くなってきています。なるべく快適で、楽しいシニアライフを送れるよう配慮してあげたいですね。
愛らしさ健在の老犬(シニア犬)でいるために!意識したい6つのポイント
半年に1度、定期検診を受ける
動物病院での定期検診は、1~6歳では年1回、7歳以上では半年に1回受けることをおすすめします。
半年に1回と聞くと多いように感じるかもしれませんが、犬の半年は、人間に換算すると2年ほどになるので、決して多すぎる頻度ではありません。
体調に変化がないと、定期検診を受けなくてもいいように感じるかもしれません。しかし、症状が出るころにはもう悪化しているケースもあります。
また、健康な時のデータを定期的にとっておくことは、何か異変があったときの診断の精度やスピードを上げることにつながります。
健康で長生きできるように、少しでも気になることがあったら受診するようにしたいですね。
毎日の散歩など、運動習慣をつける
老犬になると、散歩に出たがらなくなる子も多いですが、老犬は一度落ちた筋肉を取り戻すのが難しいので、毎日散歩するなどの運動習慣は付けておきましょう。
負荷が少なくても、毎日継続して続けることが大切です。
もし足腰が弱って歩けない状態になっても、散歩は気分転換や脳への刺激にもなるので、抱っこやカートに乗せて散歩に出かけてみてくださいね。
シニア期用のフードを検討する
ワンちゃんは、年を取ってくると運動量や基礎代謝量が低下し、若いころに比べ必要なエネルギー量は減っていきます。
そのため、若いころと同じ種類のフードを同じ量食べていると、肥満になることがあります。注意が必要です。
フードには対象年齢が書いてあります。愛犬の年齢に合ったシニア期用のフードに少しずつ変更していくといいでしょう。
シニア期用のフードは、フードの粒の大きさや硬さ、カロリーや消化の良さなど、老犬に配慮して作られています。
手作りフードももちろんいいですが、老犬の栄養にすべて配慮したものを毎日続けることはなかなか大変です。しっかりこだわれるオーナーさん以外は、市販のフードをうまく利用しながら与えるのがおすすめです。
より密にコミュニケーションをとる
年を取ったワンちゃんは、怒りっぽくなったり、逆に甘えん坊になったりすることがあります。これは不安やストレスから、精神的に不安定になるためです。
こまめに声をかけたり、一緒にいる時間を増やしたりと、今まで以上にコミュニケーションをとって愛情を与え、愛犬に安心感を与えてあげられるといいですね。
愛犬にとって過ごしやすい環境を整備する
年を取ったワンちゃんに気を付けたいのが、家の中でのケガです。
ケガの予防のためには、段差をなくす・家具の角にコーナーガードを付ける・床にコルクマットを敷くなどの対策があります。
また、トイレが遠いと間に合わず粗相してしまうことがあるので、愛犬が普段いる場所の近くにトイレを置いてあげるのもおすすめです。
愛犬の症状に合わせて、快適に過ごせるように、おうちの中を整えてあげましょう。
また、シニア期に入ったワンちゃんは、環境の変化への順応性が低下するので、家具の配置変更はせず、なるべく同じ環境を維持してあげてください。
手出ししすぎないことも大切!
年を取ってきた愛犬が心配で、見ているとつい手を貸したくなるかと思います。しかし、自分でできることまで手助けしていると老化が進み、愛犬の自信も失われてしまうこともあります。
出来ることは自分でやらせ、オーナーさんはゆっくりと見守ることも大切です。
まとめ
元気に走り回り、無邪気にはしゃいでいた愛犬も、いつかは必ず老犬になる時がやってきます。愛犬が年を重ねるにつれて気になり始めた症状は、実は老化によるものかもしれません。
老化というとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、年を取ってきた愛犬は若いころとは別の可愛さがあり、より愛おしい存在になるはずです。
そして、オーナーさんの工夫や気配りによって、愛犬のシニアライフはより快適で楽しいものになります。
老犬との暮らしのポイントをチェックし、可愛い愛犬と穏やかで楽しいシニアライフを過ごしてくださいね♪